くちづけのその後で

電話では、颯斗は頭を強く打ったと聞かされていたのに…


病院に着くと、彼は顔を擦り剥いただけの軽傷だった。


「ごめんね……。主人がまだ帰って来てなくて、家に一人やったからパニックになって……」


颯斗の母親は、申し訳なさそうに言ってから頭を下げた。


「いえ……」


ホッとしたせいか、思わず小さく呟きながらその場に力無く座り込んでしまった。


「ちょっ……!朱莉!?」


「……っ!良かったぁ……」


あたしは、颯斗を見上げながら言った。