くちづけのその後で

「朱莉っ!?」


診察室から出て来たのは、颯斗だった。


「颯斗……?」


てっきり颯斗が大怪我をしていると思っていたから、彼の元気な姿に驚きを隠せなくて…


あたしは体中の力が抜けていくのを感じながら、その場に立ち尽くしていた。


「朱莉!何で!?」


颯斗は驚きながら、あたしに近付いて来た。


「おばさんが……」


「は……?母さん!?」


何とかそれだけを言うと、颯斗は振り返って診察室から出て来た彼の母親を見た。