くちづけのその後で

「何か……あったんですか?」


あたしは体を起こしながら、控えめに訊いた。


颯斗との事を、彼の母親はまだ知らないのかもしれない。


だって…


別れた相手に連絡をして来るなんて不思議だったから、そうとしか思えなかった。


「おばさん……?」


黙ったままの颯斗の母親の様子を、恐る恐る確認する。


「颯斗がっ……!」


すると、颯斗の母親が間髪を入れずに言った。


「颯斗……?」


その途端、あたしの不安が大きくなった。