くちづけのその後で

「ママ!でんわ!」


「ん……?」


「はい!」


海斗は言いながら、あたしに携帯を渡した。


あたしは、携帯を受け取った後も寝ぼけ眼のままで…


画面も確認せずに通話ボタンを押して、電話を耳に当てた。


「もしもし……?」


「朱莉ちゃん!?」


すると、相手はあたしが電話に出るのと同時くらいに、確認するかのように訊いた。


「はい、そうですけど……」


相手の態度を少しだけ怪訝に思いながらも、控えめに答えた。