くちづけのその後で

「あたしは……颯斗君も、まだ朱莉の事を好きやと思うけどな……」


「え……?」


何でそんな事言えるん……?


意味深な発言をした亜由美に、そう訊きたかった。


だけど…


不意に言われた事に驚いて、言葉に詰まってしまった。


「何となくやけど……前に会った時、いい加減な子じゃない気がしてん」


「亜由美は、颯斗の事を一瞬だけしか見た事ないやん……」


「そうやけど……。何となく……」


亜由美は控えめに言って、困ったように笑った。