くちづけのその後で

それは、たぶん施設にいた皆も同じだったと思う。


どんなに仲が良くても、他人である以上は見えない境界線が必ずある。


血の繋がりが、必ずしも幸せに繋がっているとは思わないけど…


やっぱり、血の繋がった両親や家族がいる友達が羨ましかった。


もし施設を追い出されてしまったら、自分の居場所が失くなる……


子供心にそう感じていたからこそ、ワガママを言う事はあまり無かった。


いつだって、周りの気持ちを優先して自分の気持ちを抑える事でしか、安心出来なかったから…。