くちづけのその後で

「朱莉はさ……昔から、我慢し過ぎやねん」


亜由美は紅茶を一口飲んで、あたしを見ながら眉を寄せて微笑んだ。


「そうかな……?でも、施設で育ってる子は、皆そんなもんじゃない?」


「朱莉は特別!」


小首を傾げたあたしに、亜由美がキッパリと言い放った。


「朱莉は、周りの気持ちを考え過ぎやねん。いつもそうやったやん。自分がどんなにツラくても、あたしやパパとママの事ばっかり気にしてた……」


あたしを見つめたままの彼女が、どこか悲しげな微笑みを浮かべた。