くちづけのその後で

「そんなに悲しそうな笑顔を見せるくらい好きなんやったら、本人に正直な気持ちを伝えたらイイのに……」


「え……?」


黙り込んでいたあたしに、亜由美はため息混じりに言った。


「好きなんやろ?今もまだ……」


「4ヶ月以上も前の事なんて、もう時効やもん……。颯斗だって、新しい彼女がいてるかもしれへんし……」


「“好き”って気持ちに、時効なんてないやろ?少なくとも、あたしはそう思ってる」


亜由美は真剣な表情をあたしに向け、艶のある黒髪を耳に掛けた。