くちづけのその後で

颯斗は、きっとそうじゃない。


あたしがいなくても、彼ならきっと大丈夫。


ファミレスで最後に見た颯斗の姿に、あたしはそう感じていた。


あれ以来、彼の事は一度も見ていない。


家は近所だから、どこかで偶然会ったりしそうな物なのに…


例え偶然でも颯斗と会う事すら無いのは、きっとあたしと彼の関係がそれだけの物だったと言う事…。


そんな風に考えれば、やり切れない感情に押し潰されてしまいそうになっても、何とか気持ちを押し込めて諦める事が出来ていた。