くちづけのその後で

颯斗からの電話には、絶対に応じない。


彼が家に来ても、もちろん会わない。


あたしはそれを徹底する事で、颯斗の事を避け続けた。


もし職場にまで会いに来られたら、どうしたらイイんかな……?


そんな不安が、あたしの頭の中を過ぎった事もあった。


だけど…


幸い、それは無かった。


あたしの様子がおかしい事に気付いた真子ちゃんに、颯斗との事を訊かれる事が辛くて…


「ごめん……」


彼女に一言だけ謝って、その話題を避け続けた。