くちづけのその後で

さっきまでとは違って、今度は言葉を交わさなくなった。


静かな空間で、時計の秒針が進む音だけが聞こえる。


あたしは颯斗に抱き着きながら、彼の心臓の音に耳を傾けていた。


颯斗の心臓は、まるで彼がここにいる事を証明するかのように、力強く動いている。


ねぇ、颯斗……


あたし……


もう過去には囚われたくない……


そう強く思った直後、颯斗からゆっくりと離れて口を開いた。


「颯斗……」


彼の名前を口にすると、視界が滲んだ。