くちづけのその後で

正直、早川さんの真剣な態度に戸惑っていた。


こんな事で心を打たれたり、あの時の出来事を許せたりする訳じゃない。


だけど…


真剣に謝って来た早川さんを見ていると、少しだけ許せそうな気がした。


「ほんまにもうイイんで……」


あたしが控えめに言うと、彼は首を横に振った。


「海斗君の前であんなん言うなんて、めっちゃ最低やったと思う……」


眉を寄せた早川さんが、もう一度頭を下げた。


「謝って済む事ちゃうけど、ほんまにごめん……」