くちづけのその後で

「あたし、忙しいんで……」


早川さんの言葉を聞く前に冷たく言うと、彼が真面目な表情を見せた。


「じゃあ、1分でイイから俺の話聞いてや。頼むわ……」


1分だけなら……


真剣な早川さんを見ると断り難くて、仕方なく頷いた。


「わかりました……」


途端、彼が安堵の表情を浮かべた。


程なくして、早川さんは真面目な表情に戻ったかと思うと、口を開いた。


「あの時は、ごめんな……」


静かに謝罪を零した後、あたしに深々と頭を下げた。