くちづけのその後で

「よっ♪」


軽い口調の早川さんを見上げながら、頭をペコッと下げる。


「あの……」


用件を尋ねようとすると、彼が軽く咳払いをした。


「朱莉ちゃん、今時間ある?」


「えっ?」


「っつーか、あるやんな♪」


早川さんはあたしの答えを待たずに勝手に決め付け、満面に笑みを浮かべたけど…


「いえ、もうすぐ海斗のお迎えがあるんで……」


彼の意図がわからないままのあたしは、控えめに言いながら首を横に振った。