くちづけのその後で

「不安な事、全部取っ払って俺だけを見てや……」


もう充分過ぎるくらい、西本君の事を見ている。


だけど…


理想と現実は違うと、あたしは高校生の時に痛いくらいに学んだ。


その事を思い出した途端、西本君への気持ちよりも不安の方が勝ってしまった。


夢なんて持てない。


愛なんて知らない。


あたしは……


恋愛なんて出来ひん……


「ごめん……」


心に抱えたそれらの思いを隠し、涙を堪えながら小さく呟いた。