くちづけのその後で

「ねぇ、ほんまにイイから!」


西本君の背中に向かって言うと、前を向いたままの彼が小さく笑ったのがわかった。


「子供って、寝てると重いねんな!いくら海斗が小さくても、朱莉さんが抱っこするのはきついやろ!」


確かにそうやけど……


あたしは戸惑いながらも、慌てて西本君の後を追った。


結局、彼は部屋の前まで海斗を運んでくれた。


「ここなんや」


「うん……」


表札を確認しながら言った西本君に頷いて、玄関の鍵を開けた。