くちづけのその後で

アパートの前で、西本君にお礼を言った。


「家、ここやから……。今日はほんまにありがと」


西本君に笑顔を向け、今度こそ海斗を抱こうとしたけど…


「何階?」


彼はそれを制するように、ニッコリと笑って訊いた。


「二階やけど……」


そう答えて、アパートの階段に視線を遣る。


「じゃあ、部屋の前まで連れて行くわ!」


「イイよ……」


首を横に振ったあたしを余所に、西本君はニコッと笑って階段を上がり始めてしまった。