くちづけのその後で

今日も真子ちゃんと交代をして、あたしの仕事は終わった。


「朱莉さん、お疲れ様でした」


「うん。後はよろしく」


あたしは、治療中の先生とラストまで残る助手さんに頭を下げてから着替えを済ませ、歯科医院を後にした。


冬は、夕方でも真っ暗。


自転車を漕ぐと、吹き付ける風が益々冷たくて寒さが身に染みる。


やっと肩まで伸びた短めの髪でも、少しくらいは防寒対策になるのかもしれない。


寒さに首を竦めながらそんな事を考え、海斗の待つ保育園に急いだ。