くちづけのその後で

「大丈夫……?その体勢、しんどくない?」


心配になったあたしは、西本君を見上げながら訊いた。


「俺は男やから大丈夫♪てか、そんなん気にすんなよ!」


彼はそう言いながら、優しく微笑んだ。


その途端、あたしの胸がドキドキと騒ぎ始めた。


西本君がすぐ目の前に立っているからなのか、彼の見せた笑顔が“男”を思わせる表情だったからなのか…。


理由はどうであれ、確かに心拍数が上がっている。


騒ぎ出した心臓は、電車を降りるまでずっとドキドキしていた。