くちづけのその後で

西本君に根負けしたからなのか、あたしはどうしても楽しむ気分にはなれなかった。


だから、最初のうちはたぶんずっと不機嫌な表情をしていたと思う。


だけど、ずっと満面の笑みを見せながらはしゃぐ海斗を見ていると、そのうちあたしからも自然と笑顔が零れ始めた。


気が付けば、西本君と手を繋いでいる事も忘れそうになるくらい、素直に楽しんでいた。


そして…


例えどんなに小さな事でも海斗の表情一つで一喜一憂出来るあたしは、やっぱり海斗の母親なんだと思った。