くちづけのその後で

あたし達は切符を買って改札口を抜け、ホームの待合室の椅子に座った。


普段、あまり電車に乗る機会が無い海斗は、改札口で興奮しながら切符を通して…


ホームに上がってからは、線路を見てすごくはしゃいでいた。


そんな海斗を見ていると、憂鬱な気分もほんの少しだけ晴れて来る。


あたしは小さく息を吐いてから、西本君に笑顔を向けた。


「……行き先、海斗に合わせてくれたんやんな?ありがとう」


控えめに訊いてからお礼を言うと、彼はニッと笑った。