くちづけのその後で

約束の時間よりも少しだけ早く着いたせいか、西本君の姿は見当たらなかった。


「ママ〜、はやとくんはぁ?」


海斗は辺りをキョロキョロと見回し、あたしを見上げながら不安そうな顔をした。


「まだみたいやから、もうちょっと待っとこ!」


あたしが言うと、海斗は笑顔で頷いた。


「海斗、あそこに座ろっか?」


あたしがベンチを指差しながら訊くと、海斗が首を横に振った。


「ここがいい!」


ハッキリと主張した海斗に、あたしは笑顔で頷いた。