くちづけのその後で

不意に後ろから呼ばれて、反射的に振り返った。


あたしの視線の先には、こっちに向かって走って来る西本君がいる。


彼は息を切らしながらあたしの前まで走って来て、そのまま勢いよく頭を下げた。


「遅くなってごめんっ……!ほんまにごめんな!」


もう来ないと思っていた西本君が、あたしの目の前にいて…


彼に真摯(シンシ)な態度で謝られた事に、すごく戸惑っていた。


あたしは、西本君に遅刻した理由を訊く事もすっかり忘れて、首をブンブンと横に振った。