くちづけのその後で

一刻でも早くこの場から逃れたくて、ペダルを踏む足に精一杯の力を入れる。


そのまま振り返らずに、自転車を走らせた。


冷たい風を全身に受けながら自転車を漕いで、海斗を保育園に迎えに行った。


家に帰って食事とお風呂を済ませ、海斗を寝かせてから本を読む。


別にいつも通りやん……


そう思っているのに、頭の中にはさっきの西本君の曇った表情が焼き付いていて、胸の奥が締め付けられるように苦しい。


彼のその表情は、一晩中あたしの頭の中から離れなかった。