くちづけのその後で

「あっ!こんだけ濡れてるんで、やっぱりヤバイですよね?」


「えっ……!?いえ、大丈夫ですよ」


思わず慌ててしまったあたしは、必死に動揺を隠しながら答えて、そのまま逃げるように診察室に入った。


もう……


あたし、何やってんの……?


改めて思い返すと、西本君の事を凝視していた自分に気付いて、自己嫌悪に陥ってしまう。


「次の人、呼んで」


「あ、はい」


先生に指示されて、小さなため息をついて受付に戻った。