「やだ……やめて」


男がナイフを振り上げる。

月明かりに照らされて、ナイフは白く光っている。


刺される!


そう思った時、男は動きを止めた。

何かに驚いたようなそぶりを見せて、男は、一瞬でその場を走り去って行った。

走る勢いで、被っていたフードが、脱げたのがわかった。


それを確認できたのは、ほんの一瞬だった。

確かに、男の髪は、水色だった。