冬の夜特有の冷たい空気が気持ち良い。


ヒトシは宣言通り、送り狼にはならずに帰って行った。

別れ際、ヒトシは何度も謝っていた。

いいよ。気にしないで。

私がそう言うと、ヒトシはとても安心したような顔をして、私を抱き締めた。




今夜はもう遅いので、エリコの家には電話をかけられない。


別れ際のヒトシの抱擁が、忘れられなかった。

私は、不覚にも、幸せな気分で眠りについた。



この時の私には、次の日、あんな事が起こるなんて、知るよしもなかった。