「君と食事をするのも久しぶりだな」

食後のお茶を飲みながらヒトシが言う。

「そうですね」

「二つの店舗を仕切るのはいろいろ大変でね」

ヒトシは前よりも少し痩せたようだ。

目の下には濃いくまが出来ている。

「元気なさそうですけど、大丈夫ですか?」

「そんなことより、ヨッチーのことが何かわかったらしいじゃないか」

「あ。そうなんです」


私は、今までの経過をヒトシに報告した。

ヒトシは眉間に皺をよせながら、私の話を聞いていた。


「それじゃあ、君はヨッチーの自殺と、臭いママの死に関係があると思うのかい」

「そうです」

「いくらなんでも、エリコがホテルにいたのは偶然じゃないか」

「偶然にしては、よく出来すぎているような気がするんです」

「うーむ」

「私、エリコと話してみようと思うんです」

「連絡先わかるのか?」

「携帯にかけても出てくれないんですが、なんとかしてみようと思います」

「何とかできるのか?」

「社員の村松さんとか、由美子さんに相談してみます。私よりもエリコと親しかったから、なんとかなるかもしれません」

「みどり君」

「はい」

「探偵ごっこも良いが、君は2号店の社員なんだぞ」

「はい」

「うかつに今1号店のメンバーに近づくのはまずいんじゃないか」

「たしかにそうですね」

「君が1号店の社員だということがわかったら、スパイ行為をしていたことがばれてしまうぞ」

「……」

「そんなことになったら大変だぞ。君も僕も。遊び半分で変なことに首をつっこむのはやめるんだ」

ヒトシは声を荒げて言った。