家に戻った私は、アルバムから1枚の写真をひっぱりだした。

ヨッチーの顔がはっきり確認できる写真は、この1枚しかない。

ヨッチーは写真に写ること自体滅多になかったし、あったとしても、基本的に半目で、なぜか舌が出たりしていた。


私は、ホテルペンギンのおばちゃんに、ヨッチーの写真を見てもらいたいと思っていた。

殺された臭いママとヨッチーが深い仲なのではないかと疑っていたからだ。

ヨッチーの自殺と臭いママの死に何か関係があるのだとしたら、おおいに考えられることだ。

写真には6人の人物が写っている。

幸せそうにほほえむ由美子さんと、薄ら笑いを浮かべるのヨッチー。

おどけたポーズをとる二郎。

並んでピースをするエリコと私。

それに、ヨッチーの中学生の息子だ。

あの時は、二郎の家の裏庭に、きのこが大量発生して、店にたくさん持ってくるものだから、みんなで食べることになったのだ。

何のきのこだったのは最後までわからなかったが、あの時は楽しかった。

うざかった二郎も、汚かったヨッチーも、もういないのだと思うと、胸が苦しくなる。


私は写真をカバンに入れると、再び自転車にまたがり、ホテルペンギンへ向かった。