年が明けて、お正月。


私は巫女のアルバイトで、慌ただしく過ごしていた。

時給は低いが、14歳の頃から続けているお気に入りの短期バイトだ。

『何それ。コスプレ?』

と姉には馬鹿にされているが、姉は新年フェアで、ねずみの衣裳で店に出ている。
お互い様だ。

それに、どちらかというと姉のほうがコスプレだ。

貧乏暇無し。

世間がお正月ムードで家でくつろいでいる時も、私たち姉妹は働くのだ。


「新年早々で悪いんだけどさあ」

と、姉は切り出した。

さんがにちが終わって、私の短期バイトが一段落した頃だ。

私たち姉妹は、自宅でおもちを食べていた。

姉は遅めの夜ご飯、私は早めの朝ご飯だった。


「もぐもぐ。何?お姉ちゃん」

「みどりちゃん、あのさ、喪服って持ってる?」

「あるよ。黒いスーツで良いんでしょ」

「よかった。助かる」

「もぐもぐ。お葬式?」

「そうなの」

「へえ。誰?」

「店の先輩だった人」

「え。じゃあ若いの?かわいそう」

「先輩って言っても大先輩だから、もう30代」

「それでも、死ぬには若いよね。病気?」

「いや、何かね……」

姉は声をひそめて言った。

「何?」

「殺されたらしいの」

「え~!?」

「ラブホで刺されたらしいよ」