「ヨッチーが死んだ!?」

「そうだ。自殺らしい」

「自殺!?」

「自宅のマンションの屋上から飛び降りたらしい」

「……どうして、そんな……」

「どうしてって……ナァ?」

「わ……私のせい?」

「そうなんじゃないか?」

私は黙って電話を切った。






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次の日、店に行くと、エリコがバイトをやめていた。


休憩室では、村松さんが一人でタバコを吸いながら座っていた。

「おはようございます」

私が挨拶すると、村松さんは、

「ああ」

と小さな声で答えた。

「エリコやめちゃったんですね」

「あ。店長に聞いた?」

村松さんは、小さな声でぼそぼそと言った。

さすがの村松さんも、今回のことは、そうとうこたえているみたいだ。


「エリコ、今日は普通に来たんだよ」

「そうなんですか」

「店に来て、ヨッチーが自殺したことを聞いて、すっかりやられちゃったみたいで」

「そうですか」

「ほら。昨日あんなことあった後だからさ。ショック大きかったみたいで」


今日の村松さんは、いつになく冗舌だった。

二郎が事故死し、ヨッチーが自殺。

ヨッチーの妻である由美子さんは、しばらく仕事を休むことになりそうだし、エリコも辞めてしまった。

村松さんの喪失感は相当のものだろう。


「これから、1号店はどうなっちゃうんですか?」

「とりあえず、しばらくはバイト募集をしながら、早番の爺さんたちに手伝ってもらうよ」

「大変ですね」

「まあな」

村松さんはそう言うと、不味そうにタバコを吸った。