二郎が死んだ。

うざかった二郎が。

憎っくき1号店のアルバイトの大学生。

全然思い入れも無いし、どうでも良い人間だ。


それでも、私の両目からは、とめどなく涙が流れていた。


もう会えないんだ。

一生。

ほんの短い間の付き合いだった。


ちょっと知っている人が死ぬだけで、こんなに胸が苦しくなるなんて知らなかった。


いつか二郎が話してくれた、くまんばちに刺されたお父さんは、さぞかし悲しんだのだろうな。


ただのアルバイト仲間の私がこんなに悲しいのだから、二郎を大切に想っている人の悲しみは、きっと計り知れないものだろう。


私は泣きながら夜道を歩いていた。