おにぎり丼。

言葉の意味はわかったのだが、隣の怪しいオカマにそんなことを言われる意味がわからない。


おまけに、とても生臭いのだ。


だんだん気持ちが悪くなってきてしまった。


私が吐きそうになっていると、オカマは、私にビニール袋を手渡してくれた。




クルマヨイ!

とオカマは言った。




日本語が分かるらしい。


でも、私のは、車酔いではなくて、オカマ臭酔いだった。



なんとか、吐かないですんだが、危機一髪だった。



私が降りる停留所で、オカマは降りなかった。


私は、ビニール袋をポケットにしまって、目的の工場へ向かった。


バスの窓から、オカマが、私にいつまでも手を振っていた。