空港を出ると、湿度と熱気で、むせかえるような暑さだった。


薄暗い街に、ところどころネオンが輝いている。




この街に、ヒトシがいる……


そう思うだけで、胸が高鳴った。



でも、会う約束をしているわけではないし、本当にプーケットにいるのかも怪しいくらいだ。


プーケットにいたとして、どこで働いて、どこに住んでいるのかもわからない。



会える可能性は、ほとんどゼロに近いだろう。


それでも、ヒトシの過ごしている街の空気を感じることが、私にとって、と

ても意味があることだと思えた。



タクシーを拾い、ホテルに行く間、私は、必死で目を凝らして、車窓から、

ヒトシの姿を探していた。


ばかみたいだ。