観覧車は、10分経っても動きださなかった。

「壊れちゃったんでしょうか」

「縁起でもない」

「暇だし、事件の話をしても良いですか」

「え」

「私なりにいろいろ考えたんです」

「ほう。聞かせてもらおうじゃないか」

「ヒトシ、あなたが犯人ですね」

「そう思った理由は?」

「あなたが、岐阜に逃げたから」

「確かに、無実だったら、岐阜になんて逃げないな」

「逃げるくらいだから、人を殺したんですよね」

「結果的に、残念ながらそういうことになってしまったな」

「エリコを恐喝して、ヨッチーの遺書を偽造しましたね」

「この際だから、正直に言うが、その通りだ」

「エリコと臭いママを殺したのもヒトシですね」

「おっと。臭いママを殺したのは僕じゃない」

「じゃあエリコを殺したのは?」

ヒトシは黙り込んでしまった。



観覧車はまだ動きださない。

イルミネーションも消えたままだ。