ぶろろろろ……
と、ヒトシの軽自動車が、うすっぺらいうなり声をあげる。

「いざ出陣だな」

「ええ」


村松さんの家は、木造のきれいなアパートだった。

ヒトシを車に待たせて、私はアパートの階段を昇った。

2階に上がると、すぐに村松さんの部屋があった。

201 MURAMATU

そう書かれた手書きのプレートがドアの横に付いている。

思い切ってドアフォンを鳴らす。

少しの間の後に、ドアが開く。