「そんなこと考えて家でうじうじしてるより、恋に生きたら?」

「お姉ちゃん、自分が恋愛モードだからって、私にまで強要しないでよ」

「恋は素敵よ。愛する人が、私を愛してくれる。夢みたい」

「そうですか」

「最近ヒトシとデートしてる?」

「うるさいよ!」

「そういえば、ヒトシにプレゼントとか貰ったことあるのかしら?」

「無いけど……」

奔放すぎる姉に、だんだん腹が立ってきてしまった。

私だって、ヒトシとデートをしたり、プレゼントをもらったりしてみたい。


でも、ヒトシは忙しいと言って、なかなか二人では会えないし、プレゼントもくれない。

人の気も知らずに、調子にのる姉。

私は思わず、怒鳴ってしまった。


「私の気持ちも知らずに、お姉ちゃんのわからず屋!
スパイのことをばらすなんてひどいよ!
黄色いマフラーも派手すぎだし、毛糸のパンツを編んでもらえば良かったのに!」

姉はびっくりしたような顔をして黙ってしまった。



それから、服を着て、どこかに出かけて行ってしまった。