「やっぱり、本当だったんだな」

「……確かに、私はスパイでした」

「エリコに聞いたよ」

「エリコがどうしてそれを?」

「さあな。どこで知ったのか、オレも知らねぇよ」


「でも、本当に、エリコを殺したのは私じゃないです」

「とぼけんな。オレは知ってるんだぜ」

「何?」

「エリコの携帯の通話履歴を見た」

「それだけ?」

「あと、オマエのことで悩んでるって、前から言ってたし」

「スパイは認めるけど、私がエリコを殺す理由って無いんじゃないですか」

「知らねえよ。エリコはオマエのことで悩んでて、それから殺されたんだ」

「警察は何て言ってるんですか」

「知らねえよ」

いかにも男子中学生らしい答だ。

思春期が過ぎてから出なおしてきてもらいたいくらいだ。

しかし、彼は出なおしてきてくれたりはしない。

今、ここにいる。


「わかりました。私がエリコの死の直前に連絡をとった理由を教えます」