ストーカーを家にあげるなんて、大変危険な行為であることはわかっていた。

でも、ヨッチーと由美子さんの息子だと考えると、ほとんど抵抗はなかった。



ドアをあけると、忠は土足のままあがってきた。


驚いた姉が悲鳴をあげた。

「オマエには手出しはしねぇよ」

なんという口の悪さ。
私は身構えた。


「じゃあ、私には?」

「オマエにも、多分、手は出さねぇ」

「とりあえず、靴を脱ぎませんか」

私が言うと、忠は黙ってスニーカーを脱いだ。

「オマエなあ」

「はい」

「エリコを失ったオレが、どんなにつらい思いをしたかわかるか?」

「はい。わかります」

「わかります、じゃねぇだろ」

「付き合ってたんですよね」

「結婚を誓い合った仲だった」

「かわいそうでしたね」

「ひとごとみたいに言うなよ」

「私にとっても、大切なお友達だったから、ひとごとじゃないです」

「でも、オマエがやったんだろ」

「え?」

「とぼけるんじゃねぇよ」