「この記事では、よく調べもせずにこんなことが書いてあるが、奴は、そう悪い男じゃないんじゃよ」

「知ってるんですか?」

「まあな」

「実は私、エリコのストーカーに、最近嫌がらせを受けてるんです」

「ほう」

私は、水色男にナイフを突き付けられた話や、毎日の嫌がらせや手紙のことを掻い摘んで話した。


「それは、おかしいな」

「そうですか?」

「みどりさんが嫌がらせを受けている相手が、エリコのストーカーだという確証はあるのかな」

「特徴が一緒だったんです」

「それは、どんな特徴かな」

「髪の色とか、魚介類をポストに入れるところとか……」

「髪の色?」


「はい。水色だったんです」

「ほう」

「それに、エリコのことを調べようとしたとたんに表れたんです」

「それはおかしいのぅ」

「どういうことですか」

「エリコのストーカーの髪の色は、もう水色じゃないんじゃよ」


「どうしてそんなことがわかるんですか?」

「彼に会ってみたらわかるよ」

「会えるんですか?」

「もちろん」


老店長は、メモ帳に、簡単な地図を書いた。

それは、ファーストフーズ1号店のある駅周辺の地図だった。


「駅からは少し歩くが、道はわかりやすいと思うなぁ。良い店だから、是非行ってみてくれ」

「店?」

「そうじゃ。海鮮居酒屋ドンじゃ」

「その店に、エリコのストーカーがいるんですか?」

「ああ。その店の店長じゃ」