老店長は、ぼんやりしているようで、複雑な人間関係や、従業員の悩みなど、なんでもよく知っていた。

老店長は、エリコについても語った。


「あれは良い子じゃった。しかし、男にだらしなかったのが残念じゃ。
それが原因で殺されたのかもしれない」


老店長はそう言うと、枕元から雑誌を取って、私に見せた。


とても小さな記事だが、エリコのことが載っていた。

三流の、ひどく品の無いことで有名な、いやらしいグラビアばかりの雑誌だ。


エリコが過去にストーカーに悩まされていたことと、警察がそれに取り合ってくれなかったことと今回の事件の関連性について、おもしろおかしく書かれている。


エリコのストーカー……

水色男のことだ。


「ワシは、エリコのストーカーのことは良く知っているんじゃよ」

老店長は言った。