だんだん疲れてきて、意識が遠くなってきて……

このままじゃまずいと思った時だ。

目の前に白い軽自動車が現われた。

見覚えのある軽自動車だ。

「ヒトシ!」

私は叫んだ。

ゆっくりと窓が開いて、

「どうしたんだ?」

ヒトシはのんきにそう言った。


私は助手席に乗り込んで、ヒトシに、車を早く出すように指示した。


「何があったんだ?」

「男に追われてたんです」

「誰?」

「多分水色男です。マンションのエレベーターで待ち伏せしてて……」


車を発進させると、水色男はしばらく後をついて走ってきた。

でも、人の足が、軽自動車にかなうはずがない。

どんどん差が開き、水色男は見えなくなった。