薄暗い白熱灯に照らされた、和食の小綺麗な居酒屋。



店内は空いていた。

村松さんはビールを
私はスプモーニを飲んでいた。

「いやあ。まさかエリコがこんなことになるとはね」

「本当」

「そういえばエリコとは連絡とれたの?」

「はい」

「メール?」

「いえ。電話で少し話しました」

「へえ」

村松さんはそう言うと、唐揚げをほおばって、もぐもぐした。

「なんか言ってたの?エリコは」

「あ。でも、すぐ電話が切れちゃって……」

エリコが自首すると言っていたことは、なんとなく、内緒にしたほうが良い気がした。

「ふうん」

村松さんはつまらなさそうに言った。


「そういえばさ、みんなには会ったの?」

「え?みんなって?」

「由美子さんとか、店長とか」

「あ。由美子さんとは挨拶しましたよ」

「ふうん」

「エリコ、なんで死んじゃったんだろうね」

「事故か事件ってニュースで言ってましたね」

「どっちなんだろうね」

「そういえば、エリコのことで、ちょっと気になることがあるんです」

「何?」

「村松さん、水色の髪の男の話、この間してくれましたよね」

「ああ。エリコの昔の男ね」

「その水色男に、この間、夜道で襲われたんです」

「何!?」

村松さんは身を乗り出してきた。

私は、村松さんに、水色男に襲われた時の状況を詳しく話して聞かせた。