あの後、かに玉と話した事がある。

以前と変わらず明るく、まるで何事もなかったかのようだった。

かに玉の姉の、恋人との心中は、かに玉自身にも少なからずショックを与えていた。

それでも、かに玉はすべてを見通していたかのように、達観した意見を述べたのだ。

「私としては複雑な気持ちだけど、この現実はあの人の選んだ答えだから」

その言葉には、私が今までに見たことのない、かに玉の強さを見た思いだった。


「毛布はしっかり生きろよ」

かに玉は、最後の最後まで私の姉役を演じてくれた。

そんな彼女は、この秋結婚するのだという話を、風の噂で聞いた。