結局彼は、1時間近くも遅れて店に姿を見せた。


「も〜、遅い!」


軽く睨み付けながら文句を言う私に、彼はゴメン、と両手を鼻の前で合わせて深々と頭を下げた。


「その代わり、どれでも好きなワイン頼んでいいから」

「ホント!?」


途端に私の機嫌は急上昇、ウェイターに差し出されたワインリストを鼻歌混じりに眺める。


さすがに1万円もする高級ワインを注文するのは気が退けて、5千円のワインで許してあげることにした。