「あの本・・・」 そう、あのとき、京都に行ったその夜、一緒に過ごしたあのとき。 タクミくんがくれた本・・・。 あのあと、タクミくんの具合が悪くなったりで本棚に片付けたまま、そのままになっていたんだ。 ぼんやりと本の背表紙を見つめていただけなのに・・・。 たったそれだけのことだったのに・・・。