ウソナキ。


「まだ、行ったばっかでしょ?」

彼は笑ってそう言いながらアタシの腕を引っ張って自分のほうに引き寄せる。

抱き寄せられてタクミくんの鼓動が聞える。


さっきのときみたいに。

それからあの夜、一緒にいたとき。

そう、
2人で一緒にずっといたあのときみたいに。

人の温かさを初めて理解したあのとき。

心地よくて安心できて泣きそうになる。