誰も真面目にやってなくない!?



リンの歌なんて今だに聞いたことないし!!



マジ言ってんの?



「ほ、本気?」

「うん。だって俺、普通に就職とかできねぇもん」

「どうして!?」

「父親の会社に入るか、なにか見つけて自営業か。それしか選択肢がない」

「どうして!?お父さんに会ってないのに…?」

「息子って俺ひとりでさ。母さんのとこから戻る時に出された条件ってヤツ」



そうだったんだ…。



リンの頭には絶対跡取りってのはないだろうな…。



でもバンドで食べてくなんて唐突すぎるよ…。



「紅は夢あんの?」

「とくにないです!!適当に音大行って、ピアノ教室でもやろうかと思ってた…」

「じゃ、決まり。俺の野望に便乗ね」



やりたいこともないからいいかな…。



しかももし夢が叶ったらリンとずっと一緒にいれる?



「まず歌声を聞かせて欲しいんですけど~」

「歌ったら泣かせちゃうよ?」

「期待してまぁす」



今のあたし達、超イイ感じっ…。