休み時間の廊下で宣言したもんだから噂はあっと言う間に広まった。



「みんなのリンなのに~!!」

「あははっ…」



おかげであたしが泣いたことは広まらなかった。



あたしバカ…。



あそこで否定すればよかったのに…。



アイツが抱きしめたりするから…。



ムカつく!!



「ベ~ニチャン。帰ろ!!」

「な、なんで香山と!!」

「リンでいいって。ほら、帰るよ~」



手を引っ張られてズルズルと…。



もう…好きにして…。



「へぇ~、あんたって林太郎って名前なんだ…」

「そうそう、母ちゃんの実家がリンゴ農家でさ」

「ぷっ!!顔に似合わない…」

「笑うとカワイイな、お前」



へっ!?



今一瞬ドキッとしたじゃん!!



急に男らしい言葉使いやめてよ!!



普段はおちゃらけてるくせに…。



みんなの人気者で来るもの拒まず。



狙った獲物は確実に虜にする…。



香山 林太郎…。



あたしは虜になんないよ。



好きになんて絶対ならないから!!