でも今は泣かせて欲しかった。



香山がやけに優しくて…。



涙を拭ってくれるカーディガンの袖が温かい…。



「そうやってアイツの前でも泣けばいいじゃん」

「泣けない…もん…」

「カワイくないねぇ~」

「うん、知ってる…」

「やっぱり俺のものにしよ~。行くよ」



へっ!?



は!?



な、なに!?



泣き顔のまま連れて来られたのはついさっき別れた彼がいる教室。



「あっ、いたいた。確か…柴!!おい、コイツいらないならもらうからな」

「は!?」

「今日から紅は俺のもん」

「勝手にしろよ…」

「勝手にしまぁす!!じゃあな!!」



ちょちょちょちょちょ…。



待てコラ。



「なに勝手なこと言ってんの!?」

「俺、モテるよ?」

「知ってる!!」

「セックスうまいよ?」

「か、関係ないし!!」

「よし、俺の紅に決定~」



は!?


は!?



はぁ!?



なんで…そうなんの?